描画終了の鉛筆画、大統領執務室のケネディ大統領とケネディJr

2022年10月30日

去年2021年の5月25日から描き始めた鉛筆画、二枚組の木製パネルにケント紙を水張りして描いたこの鉛筆画は、元々、以前にエジプト、カイロの街を訪れた際、旧市街のハーンハリーリ市場で撮影してきたスチール写真のカットを元に描くつもりでいたのが、急遽写真家スタンリー・トレティックによって撮影された大統領執務室を描くことに変更してしまったのだった。どちらのテーマも他の誰かに頼まれたり、注文を受けて描くものではなかったので、描き始める日になって描く写真を変えてしまうことが可能だったわけで、描くテーマといった点では、エジプトの旧市街の一角と、アメリカホワイトハウスの大統領執務室という二枚の写真に共通点のようなものはほとんど見当たらない。しかしながらどちらの写真も、『いつか絵画作品として描いてみたい』という気持ちが強く沸き起こってきたカットであるという共通点があった。また大統領執務室の写真は私自身が撮影したわけではなかったが、著作権フリーのパブリックドメインの写真でもあったようなので、著作権に縛られている写真に比べより気楽に描き始めることができたのだった。
そして描き始めた時点では、大統領執務室の写真が、Webの特集記事に書かれていた1962年5月25日に撮影されたものであると勘違いしていたので、偶然にも2枚組の水張りパネルの鉛筆画を描き始めた日がちょうど5月25日であったことから、急遽カイロ旧市街ではなくケネディ大統領とその息子が写っている大統領執務室の写真を描くことに変更してしまったのだ。
そして、描き始めた後になって、実際にこの写真が撮影された正しい日付が1963年10月3日であることを知ることになり、その時点で5月25日に描き始めたことの重要性がなくなってしまったわけなのだが、もう描き始めてしまっていたことからそのまま描き続けていくことになった。
この鉛筆画、描き始めて数週間はそれなりに描きこんでいけたが、その後制作に気が向かない時間も多く、描きかけのまま数か月が過ぎてしまう時期もあった。
途切れ途切れで加筆を進める時期が続いていたが、この秋9月頃からは理由もなく気持ちが乗ってきてしまい、当初はケネディ大統領を描くことに特別な感情はほとんど感じられなかったが、現時点ではケネディ・ファンになってしまったかのようにケネディ大統領に関心を抱くようになっている。彼は1963年11月に暗殺されてしまったようなのだが、この大統領執務室の写真はそのわずか1か月ほど前に撮影された写真のようだ。
この鉛筆画はいつものように描画終了の時期も特に定めていたわけではないが、この秋に新たに描いておきたいと思っている絵画作品が別にもあることから、最近になってこの写真が撮影された記念日の10月3日の描画終了を目指して描いていた。
しかしながら10月3日時点でも満足のいく状態には程遠い状態で、さらに一週間、一週間と延長していったが、それでも思うような状態に至らなかったので、今月22日で一旦描画を終了することになった。そして次の描画終了予定日はケネディ大統領が暗殺され亡くなったとされる11月22日を目指し、時間を見つけて加筆していこうと考えているが、偶然にも今年2022年11月はエジプト、ルクソールでツタンカーメン王墓が発見されてからちょうど100年の節目にも当たっているようだ。
写実的な描写の場合、描写を詰めていく段階で、描きこめば描きこむほど画面が説明的になってしまうことが多く、描画を完成させる段階には描写の抜き差しのような作業がとても重要になってくるわけで、それが描写の作業が一通り完了していても、絵画作品としての描画がいつまで経ってもなかなか完了できない大きな理由のひとつになっているのだ。

大統領執務室のケネディ大統領とケネディJr 鉛筆画 2022.10.22撮影
大統領執務室のケネディ大統領とケネディJr 鉛筆画 2022.10.22撮影
公開日 2022年10月30日 日曜日

画家のノート