今日から描き始めた鉛筆画 大統領執務室のケネディ大統領とケネディJr

2021年5月25日

偶然の成り行きで今日から描き始めた鉛筆画、ホワイトハウスの大統領執務室のジョン・F・ケネディ大統領とケネディ・Jrの写真を題材にした作品。この写真は1963年10月2日に写真家スタンリー・トレティックによって撮影されたカットだそうで、私がこの写真を知ったのは去年のこと、ネット検索で最初に見つけた雑誌に書かれた撮影日は1962年5月25日の日付になっており、ずっと1962年撮影の写真であると勘違いをしていた。この写真はとてもユニークでパブリックドメインの写真でもあったようなので見つけたばかりの時には、いつか鉛筆画などでも描いてみたいと思っていた。
そして今月に入って、パネル張りのケント紙に鉛筆画を描くことになり、今回は一枚のパネルではなく屏風絵のように二枚のパネルを重ね二枚一組にして鉛筆画を描くことになった。題材は1999年夏にエジプト、カイロを訪れた際に古い建物が残るイスラム地区のハーンハリーリ市場の一角を撮影した写真で、この写真は画面中央にドーム型の建築物の屋根のような形が入ることから、パネルを縦二枚で重ねた際の画面中央の継ぎ目もあまり気にならないだろうと思われ、そんなこともあってこの写真を題材にすることになった。パネル二枚一組の鉛筆画を描くことになった理由の詳細は今ここでは書かないが、画面内に物理的な継ぎ目が入っていることで、イリュージョンの三次元世界を描写していても、物理的な物体としての紙の上に鉛筆の黒鉛を置いているという自覚が失われにくいのだろうとは思う。
それから十日ほど前、木製パネルに水張りをするためにケント紙をパネルのサイズにカットしてる最中にカッターナイフで指先を切ってしまった。傷口もかなり深くて血が止まるまでにも時間がかかったが、その後の数日間は日常の作業にも支障がでてしまうような状況が続き、ケント紙のパネル張りはそのまま先送りになっていた。そして指の傷口もほとんどなくなり、三日前の雨の日にようやくケント紙の水張りが完了し、鉛筆画を描き始められる状況になった。
そして描き始める直前になり、なにげなく描画用の資料として保存しておいた写真の整理をしている途中、たまたまホワイトハウスの大統領執務室の写真が再び目に入ってしまったのだった。それだけならいいが、ちょうど二日後が5月25日であったことからこの写真の撮影日1962年5月25日の日付が異様に気になってしまい、せっかくなら同じ5月25日の記念日にこの鉛筆画を描き始めたいという思いが沸き起こってしまったのだった。また偶然にもこれから描き始めようと考えていた二枚組のパネルを上下に重ねると、ちょうど画面上部に大統領執務室のデスクの面から上のケネディ大統領が入った画像、下部にはデスクの下から顔を覗かせているケネディ・ジュニアが入った画像を描くのにちょうど良い画面サイズでもあったのだった。
こうして今日5月25日に描画を始めたわけなのだが、先ほど写真の詳細をもう少し確認しておきたいと思いネット検索をしていると、1962年5月25日に撮影されたと思い込んでいた大統領執務室の写真が、英語の資料などから1963年10月2日に撮影されたものであったことに気づいてしまったのだった。
せっかくの撮影記念日に描き始めたつもりが、そうでなかったことに落胆してしまったのだが、もうすでに画面上部には鉛筆の線が入ってしまっており今の状況では、しばらくはこのまま描き進めてみようと考えているところなのだ。

エジプト、ギザのマリオット・メナハウス ガーデン316号室からの眺望 撮影2020.3.18
二枚組の上部パネルに画像を投影し、鉛筆で輪郭合わせの描画が始まる 撮影2021.5.25
公開日 2021年5月25日 火曜日

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